「僕に一つ言えるとしたら、その虎はあなたを恨んではいないし、あなたに感謝してもいないということだよ。彼らはそんな風に考えない。ただ生きて、死ぬ時に死んでいく。こんなに苦しいなら殺してほしい、とも思わないし、殺されるならあなたに、とも思わない。あなたに殺されてうれしい、とも悔しい、とも思わない。彼らが何を望んでいるか、僕らにはわからない。わからないんだ源五郎くん。だからね、僕らは自分の気持ちで判断するしかないんだ。」
「自分の気持ち…?」

「うん。どれだけ愛したか。あなたはそうするしかないと思ったんでしょう?そして自分の手でそうしたんでしょう。だったら悔やむことは何もない。もしあなたが怠けて、楽をするためにそうしたとか、ほかに手があったのに面倒だったからそうしたとか、そうだったら死ぬまで後悔すればいい。でも全力で考えて、全力を尽くして、それ以外にないと心で判断して、その手でそれをしたんでしょう。どれだけ本気で考えたか、どれだけ目をそらさずにいたか、どれだけ本気で向き合ったか。それが人のエゴだとしても、僕らはそれでしか、自分の気持ちでしか結果を判断できないんだ。虎はあなたを恨んでもいないし、あなたに感謝してもいない。これは僕の考えだけどそう思う。虎は犬とは違うだろうけど。死んでゆく時にたった独りで、弱さを見せない動物だろうけど。でも、その虎は最後にあなたを見た時に、ほんの一瞬でもきっとうれしかったよ。きっと。そう思う」

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田村由美 (144) 7SEEDS (104)

新巻鷹弘 名言数 12

冬のチーム編の主人公。高校2年生。神奈川出身。野球部で、50年に一人のピッチャーと言われるほどの逸材。甲子園のヒーローで、種の中でも嵐・花・万作もファンだった。冬のチームでただ一人生き残った後、春のチームと合流するまで15年の間たった1人で放浪する。この間北海道に生息する野犬を飼いならし、多数の野犬に囲まれながら旅をした。彼の中で犬達は孤独を忘れさせるかけがえのない存在となっている。 東京の廃墟で夏のBのナツ、嵐、蝉丸と遭遇するも嵐が自暴自棄になっていたこともあり拒絶されてしまう。その後春のチームと合流し共に生活する中で花の存在が大きくなっていく。とても温厚な性格だが、花のレイプ未遂を知った時に激怒し、安居に石を投げつけ負傷させてしまう。美鶴に続き花をも守れなかった自分の無力さ痛感し、花を探すため、また自分を見つめ直すためにあゆとの二人旅に出る。

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