面白い人や。
どの演目も、「粗忽者」に対して彼の目的地の人間(仕事の紹介先等)等が最初からおかしな事を言うという言葉である。時に、
「はよ言うたらアホやがな」と続けることもある。
普通聞く限りでは粗忽者を迷惑だと思っているように感じさせる言葉を言わせる噺家は多いが、枝雀はその世界観のためにこのように言っている。
いう側もあくまでほのぼのとしていて、理想的とも言える人柄である。一方粗忽者を
「念を残さんともうしますか、能天気にね、まぁまぁあしたは明日の風が吹く、まぁ済んでしもたことは仕方がないわいというようなふうに、ま、暮らせればですが、これが一番いいのではないかとも思うのですが、そういう無責任なノーテンキな男が落語の主人公で...。」
と理想的なようにも描いている。