人間、ボーっとせなあきまへんで。
それに気ィついたんで、
このごろボーっとするお稽古してまんねん
「笑いの天才である」
と指摘される。
天才だったのは確かだが、
強いて言うなら
「お稽古の天才である」
というべきかもしれない・・・
枝雀の稽古は、近所を散歩しながらブツブツと、
あるいは家の中でウロウロとしながらしたようで、
不審者に見られるほどであったとも。
この名言は、落語作家 小佐田定雄さんが、
ある日引き止められて言われた言葉であったそうだ。
その言葉を聞いて、
「あのー、師匠。
『ボーっとする』という姿勢と、『お稽古する』という姿勢は矛盾してんのと違いますか」
と答えると、一瞬キョトンとした表情を浮かべると、
天を仰いで、
「アーッハッハッハ!
ほんにそれも、そうだんなあ。
アーッハッハッハ!」
と言ったという・・・