これほど違う鑑定結果を、素人がやったというのならまだ納得もできるが、
鑑定人としてはいずれも堂々たる大学の教授か助教授である。
この、いわゆる権威ある専門家が
一人の被告を診た結果がバラバラだというのだから、驚きである。
‥‥‥結果がバラつくのは、鑑定医の問題ではなく、
精神医学そのものが未熟な学問だからではないのか。
平成7年2月25日発行『週刊現代』「風のように―精神鑑定、このあやしげなるもの―」
渡辺淳一
渡辺淳一 1
1933年(昭和8年)10月24日生まれ。日本の作家。