うん、貴様達は俺のものを皆奪る気だな、
桂の冠も、薔薇の花も!さあ、奪れ!
だがな、お気の毒だが、貴様達にゃ、どうしたって奪りきれぬ佳いものを、
俺ゃ、あの世に持って行くのだ。それも今夜だ、
俺の永遠の幸福で蒼空の道、広々と掃き清め、神のふところに入る途すがら、
はばかりながら皺一つ汚点一つ附けずに持って行くのだ、
他でもない、そりゃあ…私の羽根飾(こころいき)だ。
(辰野隆・鈴木信太郎訳)