僕らに不思議に思われたことは、こんな粉砕された肉体の上に、まだ人間並みの顔がくっついていて、しかもその顔には、毎日の生命が生きつづけてゆくことである。
しかもこれは僅かただ一つの病院であり、ただ一ヵ所に過ぎないのである…。
今の世の中にこれほどのことがありうるものとすれば、一切の紙に書かれたこと、行われたこと、考えられたことはすべて無意味だ。
この世の中にこれだけの血の流れがほとばしり、幾十万の人間のために苦悩の牢獄が存在することを、過去千年の文化といえども遂にこれを防ぐことができなかったとすれば、この世のすべては嘘であり、無価値であると言わなければならない。
野戦病院の示すものこそ、まさに戦争そのものにほかならない。

『西部戦線異状なし』秦豊吉訳・新潮文庫版301頁 
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戦争 (1608) 西部戦線異状なし (3)

エーリヒ・マリア・レマルク 名言数 5

1898年6月22日 - 1970年9月25日ドイツの小説家。『西部戦線異状なし』を始めとして、二つの世界大戦と全体主義に翻弄される民衆を一貫して描いた。本名はエーリヒ・パウル・レマルク(Erich Paul Remark)で、家名の「Remark」をフランス語風の綴りにした「Remarque」に、「Paul」の部分を「Maria…-ウィキペディア

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