日本の近代文化人の肉体鍛錬の不足と、
病気と薬品のみを通じて肉体に関心を持つ傾向は、
日本文学を痩せさせ、その題材と視野を限定した。
私は、明治以来のいわゆる純文学に、剣道の場面が一つもあらわれないことを奇異に感じる。
いかに多くの蒼ざめた不健全な肉体の登場人物が、あたかも餓鬼草子のように、近代文学に跋扈していることであろう。
いかに多くの蒼ざめた不健全な肉体の登場人物が、あたかも餓鬼草子のように、近代文学に跋扈していることであろう。
三島由紀夫