(日本では)多くの給付は政府ではなく、企業によって与えられてきた。
医療保険も年金も失業保険も、
勤務する企業の規模と勤続年数で決まっている。
それが政府に対する圧力となって、
経営体質の脆弱な企業を存続させてきた。
また経済成長を高めるために必要な
労働市場の弾力性を低下させてきた。
食糧輸入や農地売却をさまざまな形で規制することで
食糧価格が上昇し、農家が保護されてきた。
消費者の払うコストは農家に支払われる給付額をはるかに上回っており、
GDPの大きな損失を招いていた。
加えて、農家の過剰な保護が、
農家と都市住民の対立を先鋭化させることになり、
社会的な連帯感を損なってきた。
農業に限らず、セメント企業と建設会社も
反競争的な慣行によって高い価格を請求することができたし、
超低金利により、ゾンビ企業が救われた。
こうした事態に終止符を打つために、反成長的な慣行を
社会的なセーフティネットと所得配分政策に置き換える必要がある。
言い換えれば、そうした政策は国民全体を対象にし、
必要な資金は税金で調達しなければならない。だが、
反成長的な制度と慣行が何十年にもわたって維持された結果、
国民は改革に対して敵意と不信感を抱くようになっているのである。
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