昔々。
神様が人間の前に姿を現していた頃のお話。
天よりパンが降ってきた。
ある者はなぜ肉でないかと大いに嘆いた。
天より肉が降ってきた。
ある者はパンが良かったと大いに嘆いた。
天より神様が降りてきた。
全員が喜ぶ物がわかるまで、当分は水を降らせます。
天より雨が降ってきた。
みんなは服が濡れると大いに嘆いた。
天より炎が降ってきた。
みんなは家が焼けると大いに嘆いた。
天より神様が降りてきた。
全員が喜ぶ物がわかるまで、当分は何も降らせないことにします。
天より何も降ってこない。
ある者は神に見捨てられたと大いに嘆いた。
天より色々降ってきた。
ある者は降らせる物を選べと大いに嘆いた。
天より巨岩の雨が降ってきた。
これでようやく嘆きの声はなくなった。
天より雨が降ってきた。
通りすがりの旅人は感謝する。
神よ、予期せぬ天気に感謝します。
お陰で我が旅路は退屈せずに済むのです。
神は応えずに見送った。
それでいい。神とサイコロは無口でいい。
ひぐらしのなく頃に (10) |