人は年をとるにつれ、社会とのつながりや付き合いを深めて保守化し、政治的な態度も固まっていくとされた。だが、終身雇用と年功序列の崩壊で脱組織化の風潮が強まり、無縁社会化が進んだ90年代以降、様相は一変した。地域の人間関係は希薄化し、一人一人が社会との接点を持たず原子化した。地方では、家に閉じこもってテレビを見るだけの中高年層が急増したと聞く。中高年層が保守化どころか、メディアを通じた風向きに楽々と影響されるようになったのは無理もない。
中高年層よ。アンチエイジングもいいが、政治に定見をもとう。選挙での選択に責任をもとう。民主党に投票したことの後味の悪さを、いったんじっくりとかみしめてほしい。次の選択のために、いま必要なのは自省である。
政治的無関心といえば若年層の代名詞だったが、いまや中高年層でも半数に達する。09年の衆院選(政権交代選挙)で、民主党に投票した割合を年代別にみると、20代が20%、30代が30%なのに対し、50代は42%、60代は45%と、逆に若年層ほど保守的な傾向にある。(共同通信社トレンド調査より)