「そりゃわからねえよ。つまりあんたらは温室育ちだって話だろ。人生を決めてもらって、疑問を持たずその通り頑張って、そりゃラクだな」
「なん…だと」

「あのなあ、おまえらの言う一般人も人生テストの連続なんだよ。生まれた時から競争してるのは同じだ。ライバルは数百人じゃないぞ、すべてだ。受験に失敗して首くくったヤツもいれば、会社起こして潰して逃げて、樹海で骨になったヤツもいる。おまえらと違うのはな、それが全部自分で選んで歩いた結果だってことだ。わかるか。一番恐ろしいことは、数多ある道の中から目標も方向も手段も場所もつき合う人間も、全部自分で決めなきゃなんないってことだ。その責任は重いぜえ。このやり直しのきかない国で、みんなそうやって生きてたんだよ。わからないだろう。狭い世界で守られて生きてきたならわからない。一般人をなめるな」

稲架秋ヲ

稲架秋ヲ 3

有名ベンチャー企業の若手社長。アメリカ留学の経験もあり、語学が堪能。メンバーの中では年長者になるためか、社会経験を踏まえた味わい深い発言をたびたびしている。夏のAチームの境遇に同情しながらも、自らで自己決定する機会に恵まれなかった経緯を持つ彼らを「温室育ち」と評したことも。妙な訛りを好んで使う、なぜかパイプをくわえていることが多い。


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